こんにちは、カメラマンのタハラです。今回はNaccaの家『Coolness(遊び心とカッコよさ)』を感じた住宅の中から、2016年完成の一軒をご紹介します。
完成写真の撮影で訪れる住宅はそれぞれに個性がありますが、共通しているのは「暮らしや
すさ」という土台の上に「カッコよさ」が静かに立ち上がっていることです。そうした家
は、撮る側としても視線が自然に定まり、編集の流れも素直になります。
今回の住まいは、福山市内の見晴らしの良い高台に建つ、片流れ屋根の和モダン住宅。
玄関側から見ると平屋のようにも見えますが、実際には二階建ての住まいです。
印象的だったのは、玄関アプローチと中庭の格子による柔らかな目隠しでした。
コの字型に囲われた中庭には濡れ縁が回り、中央にはシンボルツリーのシマトネリコが
植えられています。
その姿を、玄関・ダイニング・和室の三方向から眺められる構成になっており、
時間の経過とともに表情が変わっていきます。
夕方、ライトアップされたシマトネリコは特に印象的でした。
玄関には白木の簀子が置かれ、外と内の境界をやわらかく受け止めながら、
空間へと自然に導いていきます。
玄関からダイニングキッチンへ、そこから吹き抜けのリビングへと視線が抜け、
隣には和室が配置されています。
和室からは中庭とリビングの両方を眺めることができ、
さらにリビングに戻ればダイニングキッチンと階段が視界に入る。
空間が分断されるのではなく、視線が循環するような構成でした。
階段を上がった二階には、片流れ屋根の勾配をそのまま生かした天井空間が広がっています。
私は三脚を移動させながら、それぞれの場所で
「この家が最もよく伝わる角度」を探し、シャッターを切っていきました。
水回り動線もまた秀逸で、キッチンから洗濯・乾燥、そして物干しまでが
無理なくつながり、生活のリズムそのものが設計の中に組み込まれています。
そこには機能性だけでなく、少しの遊び心が確かに息づいていました。
カッコよさは、単独で成立しているものではなく、
暮らしの合理性の中から自然に立ち上がってくるものだと感じます。
「デザインだけを追いかけた家は、後でどこかに歪みが出ることがある」と
耳にすることもありますが、Naccaの家にはそうした不安定さがありません。
暮らしやすさを徹底して追求した先に、結果として
機能的な美しさとカッコよさが残っている。
それが、私が撮影し続けてきた中で感じている一番の印象です。