2030年以降に新築される住宅には『2050年カーボンニュートラル』の実現に向けて、窓の断熱性能の新たな目標基準値(トップランナー)が経済産業省から発表されています。
今回は、現在とこれからの窓の断熱性能の比較を分かりやすく紹介したいと思います。
窓からのエネルギーロス
ペアガラスのアルミサッシ(窓性能値:U値4.65W/㎡k程度)を延床面積120.08㎡の2階建の断熱性能Ua値0.87W/㎡k(H28省エネ基準レベル/断熱等級4)家で検証した場合。
夏は窓から74%の暑い熱が室内に侵入し、冬は窓から50%の暖めた熱が屋外へ逃げていき、窓などの開口部から一年を通して多くのエネルギーをロスしていることがわかっています。
エネルギーロスは、電力を無駄に使っていることで、環境問題にもつながっています。
なので、窓からのエネルギーロスを少なくし、消費電力を抑える窓や開口部の工夫が必要とされています。
窓の断熱性能
窓からのエネルギーロスを減らすために、現在の自宅に設置された窓は、どれくらいの断熱性能なのか??と知ることも大切です。大まかな目安です↓
窓の断熱性能を比較する際にみて頂きたい値は、熱貫流率U(Uw) 値です。
値が小さい程、断熱性能が高い窓になり、エネルギーロスを減らすことが出来る窓です。
窓の熱貫流率は、同じ窓シリーズであっても、窓のバリエーションタイプやサイズによってUw 値が変わります。窓の断熱性能値は、メーカーのカタログやHPに記載されています。
新基準2030年に求められる窓の断熱性能
サッシ及び複層ガラスの新たな省エネ基準を取りまとめました
資源エネルギー庁に設置されている建材トップランナー制度に関する審議会(注1)において、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和54年法律第49号)」に基づくサッシ及び複層ガラスの建材トップランナー制度の新たな目標基準値等についての審議を令和3年6月から行い、本日取りまとめました。
新たな目標基準値については、2030年以降に新築される住宅に求められる省エネルギー性能から窓に求められる断熱性能を逆算することにより求めており(注2)、サッシと複層ガラスを組み合わせた窓としては、目標基準値を約4割引き上げることとなります。
(注1)総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 建築材料等判断基準ワーキンググループ
(注2)2030年に窓に求められる断熱性能は2.08(W/(m2・K))。
(注3)サッシの現行目標基準値と次期目標基準値は、想定している標準ガラスの性能値が異なるため、性能改善率はサッシのみによるものではない。また、新制度では代表サイズでの計算となっている。
(注4)サッシ及び複層ガラスの次期目標基準値は、2030年に窓に求められる断熱性能をベースに算出。
出典:経済産業省『サッシ及び複層ガラスの新たな省エネ基準を取りまとめました』より
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220310007/20220310007.html
現行の基準値と新基準値を比較した表がこちらです。
↓
世界各国の窓と日本の窓の性能値
今回発表された『サッシ及び複層ガラスの建材トップランナー制度の新基準値』ですが、国産の窓で既に
断熱性能2.08をクリアした窓もあります。
世界では、ドイツの推奨基準が0.9。お隣りの韓国では1.6以下が推奨となってます。
世界各国と日本で販売されている窓の断熱性能値を表にしたのがこちら↓
進化する窓の断熱性能
世界各国の窓メーカー、日本の窓メーカーも様々な工夫をしています。
例えば、高性能なアルミや樹脂枠の内部断面構成で中空層の『チャンバー』とスペースがあります。
チャンバーは、いくつもの中空層があることで枠の断熱性能を高めることが出来ます。
そして、枠の断熱強化でチャンバーの中に断熱材が入った窓枠もあります。
今回のサッシ断面画像はYKKAP株式会社さんのAPW330、APW430とAPW430+の画像をお借りしました
サッシ枠内に断熱材が入ることで、枠のUf値が下がり、トリプルガラスのUg値とのU値バランスが良くするためです。
熱伝導率が高く性能が低いと言われていたアルミサッシも断熱材が枠に入ることで、アルミサッシのUf値が劇的に変わり、高性能アルミサッシになります。
パッシブハウスのデータベース参照『EUROPA社』の断熱材入高性能アルミサッシ(Europa EOS 90)のスペック
こちらの窓は現時点で日本では販売されていない商品になります。
↓
Uf値0.57W/(m2 K)
Ug値0.7W/(m2 K)
Uw値0.68W/(m2 K)
アルミサッシのチャンバーに断熱材を入れてることで『高性能な窓』にもなります。
こちらの窓に興味をもった理由は、これまでアルミサッシは性能が低い・結露しやすいといった固定概念がなくなり、樹脂や木製に比べてアルミ大きな特徴であるリサイクルが可能な点です。
これまでの日本の技術、そしてこらからの日本窓未来に有効な窓かもしれません。